入院16日目の早朝、
眠れなくなっている自分がいた。
もう半月も、会社を休んでいる。
子どもたちにも会えていない。
漠然と不安にかられて
焦っている自分がいた。
ノートに、いろんなことを書き出している。
でも、なんも変わってねぇ、まだなんも。
病室から窓を見上げると、
少しだけ痩せ始めた満月が輝いている。
ふとその瞬間、
星野道夫さんのエッセイが浮かんできた。
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「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。
たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。
もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」
「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いて見せるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」
「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって・・・その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」
星野道夫著 『旅をする木』の中の「もう一つの時間 」というエッセイより
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頭で考えることも必要かもしれない。
でも今感じている感謝の気持ちや、
その感情に寄り添うことで、
結果として自分が変われば、
それで良いのだろう、きっと。
焦らず、ゆっくりと
「もう一つの時間」を感じながら。
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